ビール。
ハートランドビールが好きだ。
学生の頃、ボエムの原宿店(今はもうない)に、バイトが終わってから、夜中にいくのが通例だった。
頼むものは、決まっていて、
ハートランドビール、サーモンサラダ(さーさら)、メランツァーネ、ボエスペ(フルーツのヨーグルト和え)。もう、いつもいつも、こればかり。ビールの次は、スプモーニばかりだ。
あの頃は、楽しかった(今も楽しいが)。やはり、学生ということもあり、背負うものはなく、気楽に飛ばいていた時代である。
バイト仲間と話すのは、大抵、接客サービスについて。その頃、私は、FLO表参道というフランスのブラッスリー・クーポールの日本進出の店でメートル・ド・テル(所謂、フロアの給仕)をしていた。
私は、当時から、今もそうであるが、「カスタマーターゲティングがはっきりしているサービス業」が好きだ。サービス業の中でも、完全に100%のお客様の要求に答えるのを目指すようなカスタマーのターゲティングをしない業態は、あまり得意ではない。
そんななか、いかに、お客様に気分良くお食事をしていただくには、どうすればよいか。
ということばかり、考えながら、仕事をしていわけであるが。
飲食業において、私は、サービスで気をつけなければならないのは、ただ、一つのことであると思う。自分でいうのもなんであるが、4年間とおして、一番、クレーム率が低いサービス人であった自負がある。
気を付けるただ、一つのこととは。
「給仕の彼(私の事)は、いつも、自分の事を気にかけてくれている。」
ということである。例えば、どういうことか、お客様が、イラつくのは、「①何か、頼もうとしたとき、給仕人が気づいてくれない。②頼んだものが遅い」。もう、この2つが圧倒的な理由なのだ。
① これは、自分がずっと、気にかけれいれば良い。
② 難しいのは、これだ。この場合、料理の提供が遅くなる時はどうしてもあるが(当時は、繁盛店であり、人も足りない時代であった)、その時の行動としては、提供時間がきても、料理がでない時は、
「先に、お客様のところにいって、一言添えるのだ。」
このあまりに簡単な事ができている飲食業のサービス人は、物凄く少ないのではないだろうか。
お客様がイラつき出してからでは遅いのだ。
メインディッシュが遅れそうな時は、先んじて、お客様に一言添えるのだ。
お客様は、一生懸命、気にかけてくれる給仕人に、悪くは思わない。
お客様が、イラつくのは、料理が遅いからではないのだ。自分の存在を忘れられている(軽んじられている)からなのだ。