小売業で、小売業側が「課題」と思っていることに
・商品を陳列しておくだけではダメで、もっと、お客さんに提案しなければ、ならない。提案型の売り場にしよう
という課題は、全ての小売業が思っていることです。
チラシも同じです。販促の教科書には、「単品訴求型チラシ」「提案型チラシ」などの分類がされていて、一番、能がないというか、誰でもできそうなのが、単品訴求型チラシなんです。
でも、ですね。残念なことに、売上高だけでみると、誰でもできる「単品訴求型」チラシのほうが、「提案型チラシ」よりも、売上をとるんです。
同じように、「提案型売り場」よりも「大量陳列型売り場」のほうが、売上がとれるんです。これは、どの小売業でも同じことが言えます。
ちょっと、話しがそれますが、IT業界では、IBM、富士通、NECなど、全てのIT企業が「御用聞き営業」から「提案型営業」を目指した時代がありました(まあ、今でもそうです)。
・お客様の言う事を聞いて、システムを構築するのは、誰でもできる
・システム構築が目的ではなくお客様の利益創出が目的であり、システム構築とは業務改善などをしていかなければならない。
ということで、IT企業の提案書も「業務改善の必要性」なんて、文字が踊ったんです。これは、当時、ITバブルの時に、ITコンサルタントなる言葉ができて、儲かった(人工単価が高く設定できた)ので、こういうことになったとも言えます。
プロクラマー<SE<ITコンサルタント みたいな構図です。
この時、IT企業の武器になったのが、SAPをはじめとるすERPです。ERPには、グローバルスタンダートの業務プロセスが含まれているという売り文句でどんどん販売しました。ERPの機能とお客さんの業務のフィット&ギャップ分析をするだけで、「なんだか、業務改革をしている気分」になったのです。
まあ、正直、「虚」の時代だったと思います。
話しを、小売業に戻しましょう。
「スキルや馬力もいる提案型の売り場<大量陳列売り場」
何故、このようなことが起こるのでしょうか。
1 物理的な売場構成からすると提案型売り場は、面積あたりの陳列SKUが少なくなる
という問題があります。どうしても、提案型の売り場は、「キレイ」ディスプレイするので、そうなります。まあ、これは、構造上しょうがないことでもあります。
2 提案が「マスの」お客様の心を動かさない。
そうなんです。提案型の場合、マスに効く提案型って、何?ってことなんですけど。提案型ってのは、本来、マスに効きにくいんです。
例えば
・カレーの具材を集めて売り場をつくる としましょう。(カレーはマスに効くほうです。これが、キッシュロレーヌとかになると、もう、それだけで、マスに効きません)
そんなカレーセットにしたって、
主婦は、
・今日は、カレーはいやだな。
・カレーでもいいけど、私の欲しい、カレールーは陳列されてないな
・カレーの具材セットになってるけど、人参は、家にあるから不要なんだよなー
など、色々と考えを巡らせます。で、幾許かは売れると思います。
ただ、それよりも
・牛肉の特売!で大量陳列売り場のほうが
主婦は、
・あ、今日は、肉じゃがにしよう
・あ、今日は、カレーにしよう
・あ、今日は、肉野菜炒めにしよう
ってことで、単品SKUから、「自分できる料理」を思い浮かべ、買うわけです。で、その販売方法のほうが、売上がよいのです。
さて、じゃあ、どうすればいいのかと。
業態によって、変わりますが、その解の一つにIKEAがあると思います。IKEAは
・提案型の売り場にて、客を飽きさせず、「自分もこんなおしゃれな生活をしたい!何か買おう」という気分にさせ
・一部(実は、一部なんですよね)の激安商品を大量陳列し、「安さ」をアピールし、
・「おしゃれな生活」が「安く」手に入るとおきゃさんは思い込み
・実際には、激安商品も買うかもしれないが、それなりの価格の商品を買ってしまう。
というメカニズム。
ああ、長文になってので、ここらで、一区切り。