2010年3月25日木曜日

消費者が求める「品揃えの豊富さ」の落とし穴

よく、「品揃えが豊富」と言葉がある。GMSをはじめとする総合小売業(専門店業態ではない)の強みと言われるところだ。

ところ、品揃えが豊富とは、2つの意味がある。

1 品揃えの幅が広い
2 品揃えが深い

の2通りある。小売業界では、この2種類があるのは、周知の事実なのであるが、ここで、留意しなくれはならないことがある。

もう、時効だからよいかもしれないが、カルフールが日本上陸をする年に、新業態の企画プロジェクトをしていたことがある。そこでの会話だ。

・(とある外人)品揃えは、頻出アイテムを幅広く品ぞろえするのが良い。

というアドバイスを受けた。これは、電球、ガムテープ、ホチキスなど、頻出定番のみを品揃えし、品種を増やすのが良いというアドバイスであった。

しかし、2年ほど、実際の店舗で運用した結果、方針を改めた。それは、

・フードラインは、それで良いが、ソフトライン、特に、ハードラインは、そのやり方ではダメだということだ。

つまり、昔の消費者は、ホチキスであれば、なんでも良かったのだ。ホチキスが売り場にあるだけで、喜んでいたのだ。しかし、今は、ホチキスでも、「針が曲がらないホチキス」など、好みがあるのだ。

だから、品種は絞って、「一見無駄に見える」1品種あたりのSKU数を増やす方が消費者の心をつかむのであるという検証結果なのである。

また、他にも効率化のウソが発見されたことがある。それは、

・バイト比率を上げて、人件費を下げるのがよい。仕事がある時だけ、バイトに働いてもらうのが最適なLSPである。

という一見正しい、ストーリーがあるが、これも、実際の運用では、逆の結果がでた。

・多くの人(バイト)が細切れで働くよりも、少し、人件費単価は高いが、社員が、ちゃんと、フルタイムで働くほうが、売上貢献する。

という結果なのだ。これは、論より証拠、理論的には正しいことで、実際には、正しくないことがあるということなのだ。